2015年03月14日
南洋パラオ釣行記③
翌朝目覚めると、夜中に亘って激しく降り注いでいた雨も止み、晴れ間も顔を覗かせていた。
どうもっ!
先日、人生初スノボで吹雪の中滑り倒して全身筋肉痛であります。
じゅにです。
さて、パラオ釣行の記事も残すところ一回です。
二日間、厳しい展開になりましたが、最終日はいったいどうなったのでしょうか・・・
果たしてGTはキャッチできたのか!?
いつものように、三浦氏の車をホテルで待つ。
このホテルには犬や猫が住み着いていて、ふとした瞬間に癒される。
今朝もいつものポジションに陣取っていた。
レストランにも毛並みの美しいニャンが常駐している。
この日は朝食にステーキをオーダー。
しっかりとパワーを蓄える必要がある。
迎えを待つ駐車場にはいつも行儀のよいワンが寝ている。
8時過ぎに三浦氏がやってきた。
日が昇るにしたがって雲が切れてゆく。
三浦氏の勤めるマリンガイドサービス”PLUG IN”の事務所のある桟橋ではなぜかデカい鳩が飼われていた。
この鳩、人に慣れているようで臆病。
時折、びっくりするほど低く大きい声で鳴く。
この日は、フライチームとルアーチームで分かれての行動となった。
今までフライにこだわってきたO氏がレンタルのGTタックルで私と乗り合い、夷谷氏とI氏がフライチームとして三浦氏の黒船に乗り込んだ。
ルアーチームは、ISLAND SEED LTD.の船に乗り込む。
前日までGTをはじめとする大物に巡り合えていなかったことを気遣ってくれたのか、エリックとゴードンの二人が乗り込み、マンツーマンでアシストしてくれることとなった。
因みに二人ともかなりの凄腕で、エリックを頼って日本を始め、世界中からプロアングラーが訪れるという。
ゴードンは操船のスペシャリストで、パラオの操船技術大会で1位を獲得したそうだ。
操舵席にいるのがエリック、船首側で座っているのがゴードン。
どちらもかなりの巨漢である。
いよいよ出船。
最終日の釣りがスタートした。
この日のプランは、ベイトボールや根回りを攻めながら、今迄行かなかったパラオ西部のもっとも外側のリーフエッジまで行ってみるというものだった。
出航して間もなく、なんとなく、不思議と今日は何かが起こりそうな気がした。
ゴードンやエリックは、”GTの匂いがする”と表現していたが、それに近い感覚だったと思う。
よくウェーディングでシーバスなんかを狙うとき、”気配を感じる”事があるが、あの感覚である。
ガイドの二人が300馬力でボートを疾走させながらも、注意深く海を眺める。私も眺める。
不意にボートを停めた。
私には何も見えない。
しかし、二人の千里眼ははっきりとベイトボールを捕えていたようだった。
デッキに上がり、指示される方向に風を読んでキャスト。
早速ダツがヒットする。
エリックが、”合わせちゃダメ。しっかり重みが竿に乗ってからだよ!”とアドバイスをくれる。
ダツがバレてしまい、次のキャスト。
着水と同時にベイトが散る!
赤い魚体が躍り出る!!!
物凄い衝撃がロッドに伝わるが、先ほどのダツのヒットがあったおかげで、かなり落ち着いてフッキングに持ち込むことが出来た。
パワフルで太いファイト!!
エリックの誘導に従う。
そして無事にネットイン!!
やったぁ~!!!
ここまで長かった・・・!!
嬉しさのあまり、ガッツポーズが天を衝く!
魚の重さがうれしい。
良型のレッドスナッパー(バラフエダイ)!

物凄い歯。この歯に何度苦しめられたことか・・・!!

ROD :UFM ウエダ ”POWER PLUS”GT932H
REEL :SALTIGA5000 Studio Ocean Mark フルカスタム
LINE : PE6号 + 130lbsNYLON
LURE :Maria ローデッド180F
この魚はパラオ人は好きなんだ、とキープ。
日本でバラフエダイといえば、シガテラ毒保有率がかなり高いので食用にされることは少ないが、パラオでは普通に食べるという。
O氏も慣れないルアータックルで頑張ってキャストするも、反応が途絶えてしまった。
その後もいくつかのベイトボールでキャストを試みるが魚が出ないので一気に移動。
目的の外洋に面したドロップオフへ!
途中、いくつものスリットのリーフエッジを超えていく。
すっかり晴れ渡り、途方もなく美しい。
次はGT!
美しい海に、期待は高まる。
ついに、外洋に面し、デカいうねりが次々と押し寄せるリーフに到着した。
いかにも巨大な魚が潜んでいそうだ。
風上から船をドロップオフに沿って流していく。
デッキに踏ん張って浅場までフルキャストしていく。
時折、何かがチェイスする。
そして突然やってきた。
巨大な影がルアーに襲い掛かった!!!
落ち着いて二度三度とフッキングを入れ、ファイト開始。
強烈なトルクとスピード!!
ボートでじわじわと深場へ誘導してもらう。
必死でロッドを立て、ポンピングで寄せる。
浮いた!!
紛れもなくGT!
”魚を水面から出さない!”というエリックの指示通りに誘導する。
もう少し!
ネットイン!!
ついにやった・・・
あのGTを。
感無量である。
言葉もないのだ。
エリック、ゴードン、O氏と固い握手を交わす。
あらかじめ海水で濡らしてあったカーペットに乗せ、直ぐに鰓にホースで海水を送り、完璧なフッキングをしていたフックを外す。
美しい珊瑚礁の王者、ジャイアント・トレバリー(ロウニンアジ)。
およそ10kg。
ROD :UFM ウエダ ”POWER PLUS”GT932H
REEL :SALTIGA5000 Studio Ocean Mark フルカスタム
LINE : PE6号 + 130lbsNYLON
LURE :Maria ローデッド180F
いつか思い描いていた夢は、こうやって実像を結ぶ。

リリースした魚体を見送った後、O氏にもバイトがあったようだが、フッキングには至らなかった。
そして、私のGTを撮影してくださっていた時、少し酔ってしまったということなので、リーフの岬の向こう、風裏エリアに小移動した。
地形はほぼ同じであるが、こちらはベタ凪である。
ここでは休憩がてら、ライトジギングを試す。
水深は、0~100m以上の変化で、船を60~70mラインで流す。
まずはゴードンがお手本を見せてくれるようだ。
ボトムをとってしゃくり上げるとすぐにヒット!
なかなかのファイト。
しかし、途中でガクンッ!と衝撃があり、それ以降はスルスルと上がってきた。
なんとヒットした80cmはあろうかというオオクチイシチビキにサメが喰らいついたのだ。
ここではヒットした魚は出来るだけ早く浮かせなくてはならないらしい。
ロングジグより、シルエットが小さい方がいい、とのことなので、ザウルスのヒラジグラ110gを投入。
直ぐにヒットするがバラし。
そしてまたヒット。
沖縄でも散々釣ったバラハタ。
ジギングでの釣果はキープした。
O氏もゴードンのタックルを借りてレクチャーを受けている。
広大なリーフのシャローフラットではひっきりなしにナブラが起きている。
おそらく、ツムブリやカスミアジだろう。
鳥も集まって相当にぎやかだ。
まさにパラダイスの光景である。
このリーフには未だ釣り人は入ったことが無いという。
一度ジグを引揚げ、再度落とし込んでいるときのことだ。
ラインがリズムよくパラパラパラ・・・と出ていく。
しかしそろそろボトムかと思われた瞬間、
ビュビュビュビュビュッ!!!
急いでベールアームを戻し、フッキングを入れようとする!が!
竿が立たない・・・っ!!!
ロッドは伸され、ドラグ音が鳴り響く!!
何もできないよぉ~~!!
バイバ~イ!
エリックが”それ、イソマグロだね、15kg位だと思うよ。小さいよ(笑)”
冗談じゃない。
これのどこがちっさいねん!!
結局リールをひと巻きもすることも出来ずにリーダーを噛み切られた。。
しばし圧倒されていたが、もう一度ヒラジグラを結び直し、再開する。
そろそろ昼休憩にするということなので急いでジグを回収する。
ズンッ!!!
今度はなんとか巻けている。
しかし強い強い。
”それはたぶんツムブリだね”
しかしフックオフ!
なんという魚影の濃さ。
昼休憩にしようと思ったら、船の近くで鳥山!魚もバシュバシュやってる!
この海は休ませてくれない。
風上に船をつけ、ゆっくり流してナブラのど真ん中に船が入る!
直ぐにキャストしたO氏にまずヒット!
GTタックル+ローデッド140Fでスマガツオ40cmクラス!
ジグを外してシャウト!のエンタイスを装着!
一投目ヒット!
かなりいいファイトをしたがあと少しでフックオフ。
エリックが私のULバスタックルでへドンのザラ・パピーをキャストでヒット(笑)
何でもありである。
私の2投目にビッグバイト!
これは楽しい!
いくらでもヒットしてくるのだ。
50~60cmのスマガツオ!
3尾ほど血抜きして、やっと昼食。
穏やかな天気のいい海で、ナブラに囲まれてゆったり弁当が食べられる。
最高である。
直ぐに射程内に入る。
昼食の途中で、”お前も面白いからやってみろ”とエリックにULタックルを進められる。
シコトゥイッチャーを直結して軽く投げてみる。
案の定ヒット(笑)
こんなに簡単に釣れてしまっていいの?(笑)
ROD :WORLD SHAULA 2651R-2
REEL :BIO MASTER SW 4000PG
LINE :FRONTIER DISC16lbs
弁当を食べてしばらくすると、遠くで見えていた雨雲が近づいてきてスコールに。
私はジグ、O氏はキャスティングで狙い始めてすぐ、ボートの後方で何か巨大な魚がジャンプ!
そして、O氏が船べりまで回収してきたローデッド140Fに巨大な魚影が襲い掛かる!!!!
イソマグロだ!
デカいっ
GTロッドが伸され、15kg近いドラグをモノともせずに引き出していく!
エリックが後ろからO氏を抱きかかえ、サポートする!!
だめだっ
止まらない止まらないっ!
結局200m近くラインをノンストップで引き出され、リーフエッジに擦ってブレーク。
私はただただ圧倒され、呆然である。
”今のは20kg以上は確実だったのになあ。獲りたかったねえ”
エリックとゴードンは本当に悔しそうにしていた。
”でもね、パラオ記録は90kgオーバーだよ”
どうなってんですか、この海は(笑)
再び腕休めにジギングに。
まずは私に、よくわからないチビキ系の魚がヒット。
そしてここからO氏が覚醒する!!
まずはエンペラー!
さらにバラハタ。
憧れの魚の一つ、カッポレまでも!
使ってるジグは80g!
水深70mでこの重さで十分底を取れている!
そこそこ風もあり、潮も飛んでいるが、ゴードンの巧みな操船で、常にラインはボトムまで一直線!
すごいっ!
”俺たちいつも40gだよ”
凄すぎる!
私にもいいバイト!
何とかロッドを立てる。
ゴンゴンゴン!
何度かドラグを出されたり、やり取りをしていると、急にガクン!ときてフワッと軽くなり、再びドスン!
そこからは全く止められずにブレーク。
サメに食われたのだ。
エリックがこれを使えと、60gのジグをくれたのでやってみる。
苦労せずにボトムが取れる。
と、そこに再びO氏!
ナイスファイトで上がってきたのは、アンバーコール・ジャック(ヒレナガカンパチ)!!
私も必死にしゃくる!
”もっとスローに!そう、そこから大きくしゃくって落とす!フォールで喰う!”エリックの神の言葉通りにした途端!
きた!!
サメにくれてやるわけにはいかない!
ショートポンピングで頭をこちらに向ける。
必死のファイトでなんとか浮かせることが出来た!
よっしゃぁ~!!!
これまた憧れのカンパチ!しかもヒレナガ!!
最高!!!
ROD:WORLD SHAULA2704RS-2
REEL:TWINPOWER SW6000HG
LINE: PE JIGGER HG 4号 + 80lbsNYLON
ホンマに最高!!
しかしその直後、O氏、さらなるサイズアップ!
海のルアーフィッシング初体験というO氏であるが、ガイドの指示に忠実な釣りで、確実に釣果を出す!
お見事!!!
しかしドラマはこれで終わらなかった!!
”おれもやりたくなっちゃった~”とエリック。
ゴードンのタックルでジグを落とし、速攻でヒット!!!!
PE2号のライトジギングタックルであるが、本気の漢ファイト!!
ぐんぐん浮かせてランディング。
え、なにこれ・・・?^^;
キョーレツ過ぎる!!
エリックがデカすぎてキョーレツさが伝わんない!(笑)
そこでブツ持ち代行ということで、私がそのキョーレツさをアピール(笑)
どかーん!!
口なんて、人の頭が入りそう(笑)
歯も凄い。
ヤイトハタ or チャイロマルハタ!
さあ、終了時間も近づいてきた。
あと30分だけGTキャスティングをやって帰ろう、ということになった。
先ほどより潮位が高くなり、うねりの幅、高さ共にかなりのものだ。
O氏に船首を譲り、私は船尾からキャストする。
波も高く、ペンシルより、ポッピングの方が良い気がして、DUELのBIG BLUE ブルポッパー200Fをセレクト。
波に逆らうように引くことになるため、ルアーが飛び出さないよう、少しストロークの短いポッピングを心掛ける。
開始早々、O氏の動かす別注平政220mmにチェイスがあったようだ。
その直後、私のルアーに真横から物凄い影が襲ってきた!!!
BIG BITE!!!!
この旅のハイライトはクライマックスにやってきた!
フッキングは落ち着いて3発、次いでファイト開始後にロッドを立てて2発、追い合わせを入れた。
午前中のGTより遥かに強い!!
既に3日間のキャスティングで体中に疲労が溜まっており、さらにジギングでのファイトで腕もかなり疲れていた。
しかしここは負けられない!!
デッキに移動して、全身全霊でファイト!
握力も限界に達し、竿を立てているだけで精一杯。
”頭をこっちに向けさせて!小さくポンピング!”
エリックの指示に懸命に応え、ショートポンピングで根に走られないようにする。
みんな口々に、”ファイトが様になってきたね”とか”結構速くランディングできたね”と言ってくれたが、私にはとてつもなく永い時間に思えた。
エリックの差し出すランディングネットに入ってもすぐには船に上げない。
デッキのカーペットを十分に濡らし、受け入れ態勢が整ってから、船に引き上げられた。
疲労困憊。
感無量。
GTも私も精根尽き果てたのだ。
しかし、この喜びと感動は他に喩えようがなかった。
あまりの感激に、釣り上げた直後、エリックの肩に抱きついて危うく涙が零れるところであった。
凡そ18kg。しかし重さなんてどうだっていい。
何キロであってもこいつは我人生のメモリアル・フィッシュだ。
ゴードン、エリック、O氏と固い握手を交わす。
立っているだけで一苦労なラフウォーターにGTとのファイト。
足腰がへなへなと崩れ、立てない。
ROD :UFM ウエダ ”POWER PLUS”GT932H
REEL :SALTIGA5000 Studio Ocean Mark フルカスタム
LINE : PE6号 + 130lbsNYLON
LURE :DUEL BIG BLUE Bull Popper 200F
十分に回復を促し、リリース。
感動をありがとう。
しかし時間はまだ残されている。
最後の一投まで投げ切って終わりたい。
そして、諦めない心で投げ続けていたO氏にドカンと出た!
強靭な引きを見せたが、安定したファイトできっちり獲る!
デカいっ!!
おめでとうございます!
10kg近くあるのではないかというトロフィーサイズのバラフエだ!
リリースして投げ続けていると、今度は私にヒットの感触!
しかしすぐにリーダーが切れた。
バラクーダだ。
ブレークした水面にポッパーが浮上し、幸いにも先ほどのヒットルアーの回収に成功した。
と、そこに再びO氏!
こちらはきっちり獲る!
流石!
このバラクーダを最後に、港へ帰ることとなった。
この海は最高だ。
紛れもない楽園。
いつの日か、また来たい。
帰港して、今回お世話になった方々で、記念撮影。
この二人がいなければ何もできなかっただろう。
”PLUG IN”を後にしていったんホテルに帰り、シャワーを浴びると、町の居酒屋の迎えが来た。
エリックがおススメだというお店に、ジギングの釣果を持ち込んでのプチパーティーを開いてくれたのだ。
こんな賑やかな建物。
レストラン”Mog-Mog”
日本人スタッフがおり、店内には「東京、オリンピックおめでとう!」の横断幕が掛かっていた。
カンパチ、スマガツオ、カッポレの刺身盛。
カンパチのグリル。
パラオらしいものを、とタロイモのコロッケ。
かけがえのない出会い。
釣果を讃え、夢の釣り談義に華が咲き、会話が世界中を駆け巡った。
ホテルに戻り、荷をまとめる。
フライトは早朝4時。
深夜1時過ぎまで仮眠をとり、空港へ向かった。
飛行機は未だ夜も明けきらぬパラオを飛び立ち、旅が終わる。
南洋パラオ釣行記 完。